鳥居には大きく分けて神明鳥居系と明神鳥居系に分かれます。その中でも古代信仰の流れを汲んでいる神明鳥居は鳥居の中でもシンプルでその名前のとおり神明系の神社に多くあります。福井県に鎮座する神社の鳥居を見ながら神明鳥居とその種類をピックアップしていきます!
円柱で造られた神明鳥居
まずは神明鳥居の特徴として
・笠木が丸く反らない
鳥居の最上部の屋根のような横に貫く部分のことを笠木といいます。この笠木の断面が丸く一直線になっているもの。
・貫が柱までしかない
神明鳥居の最大の特徴として先ほどの笠木の下に並行してある部分を貫(ぬき)と呼びます。神明鳥居ではこの貫が柱までしかなく突き出ていないのが特徴。
・額束がない
鳥居の貫の真ん中に〇〇神社などと社号額がない場合が多い。
写真は坂井市春江町東太郎丸に鎮座する神明神社。柱も貫も笠木も円柱で注連縄も一文字型でシンプルなのに存在感がある素晴らしい鳥居です。
福井県内の旧越前国内では
あわら市東山 神明神社(ご祭神はオオヒルメノムチ ※アマテラスの別称)
勝山市元町 神明神社(ご祭神はアマテラス、応神天皇など)
鯖江市河端町 河端神社(ご祭神はアマテラス、ウケモチノカミなど)
などがありご祭神にアマテラスを祀っている神明系の神社という共通点があります。
貫が円柱でない靖国鳥居
神明鳥居にもいくつかの種類がありその中でも多く見られるのが靖国鳥居です。
基本的には神明鳥居と同じなんですが貫が丸くなく平べったい板のようなものになっています。名前の通り靖国神社の鳥居として有名です。
説明写真は鯖江市水落町に鎮座する神明神社の靖国鳥居。
福井県内で靖国鳥居はとても少ないですが、鯖江市水落町の神明神社、あわら市北本堂の神明神社、福井市宝永の神明神社などが確認できます。
五角形の笠木の伊勢鳥居
そして神明鳥居の中でも特に少ない伊勢鳥居。笠木が横から見ると五角形で襷落とし(たすきおこし)という笠木の端っこが斜めに切られているのが特徴です。福井県でもほとんど確認できない貴重な鳥居です。もちろん、伊勢神宮の鳥居で格式を感じます。
通常の神明鳥居と造りは同じなんですが円柱が五角形になると一気に雰囲気が変わります。
伊勢鳥居は福井県内にはほとんどなく今のところ3社のみ確認できます。
坂井市春江町田端の神明神社、福井市半田町の神明神社、敦賀市金ヶ崎町の金崎宮の3社です。この3社の鳥居は是非、残していってほしいと思います。
木製で造られた黒木鳥居
特別な鳥居として木で造られ木の皮をそのままにした原始的な神明鳥居を黒木鳥居と呼びます。木の皮をはいだ鳥居は白木鳥居と呼ぶようですが福井県内で確認したことはありません。
この黒木鳥居は白山平泉寺の御手洗池にあります。この御手洗池(おみたらしいけ)は白山信仰の祖・泰澄大師が白山の女神と出会ったとされる場所で神聖化されています。
このような自然信仰には神明鳥居が使われることが多いです
三国神社境内にある磐座信仰と考えられる大きな岩の前にも神明鳥居系の靖国鳥居が使われています。
このように岩や池など自然なものを神として崇める自然崇拝は日本の古くからの考え方で仏教伝来以前の考え方だと思われます。そういった場所では神明鳥居を使うことが多くいです。神明鳥居の使われ方がなんとなく分かってきます。
本来は神明神社には神明鳥居があるのがいい思います。神社の中でも神明神社はその歴史が古く、伊勢神宮と同じアマテラスを祀っていることから天皇家直結の神社と考えられています。しかし、長い歴史の中で神社が合祀されたり、石屋さんの関係なのか?見た目のかっこいい明神鳥居などに変更する神社はとても多いです。数少ない福井県の神明鳥居。個人的に見つけるとテンションの上がります。
神社の境内にあるものはひとつひとつ意味があるものが多いので鳥居の形もしっかり残していってほしいなと思います。
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